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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第2章 僕とおそロシア


『日露スケーター戦争、Lv1』


「まだ興奮しとる!僕、この演目オペラも演奏もバレエも大好きやねん!」
「本当に素晴らしかったよね!」
マリインスキー劇場でバレエ公演を観劇した勇利と純は、劇場を出た後も興奮冷めやらぬ様子ではしゃいでいた。
「まあ、リリア女史お墨付きのダンサーと楽団だから、ハズレではなかったけどね」
「つか、音響や舞台の凄さなら、新マリインスキーの方が設備良くないか?」
そんな勇利達とは対照的な反応をしたヴィクトルとユーリに、2人の動きが止まった。
「こうした地元民の心無いひと言って、こっちの感動その他を容赦なくへし折ってくるよね」
「『これやからおのぼりさんは』て、上から目線で優越感に浸っとるのが、ホンマ腹立つわ」
「…京都民の純が、それ言うんだ」
「どういう意味やねん」
ヒソヒソ日本語で囁き合う勇利と純に、今度はユーリとヴィクトルが眉を逆立てる。
「ンだよ!カツ丼もサユリも、どうせ俺達が日本で旧い建物や劇場観て感動してたら『新しい方が良いのに』とか言うんだろ!?」
「実際、俺達が昔長谷津城に興奮してた時も勇利塩対応だったし、お互い様じゃん。日本って、古い建物すぐ壊しちゃうし、ロシアと比べて色々無秩序なトコあるよね」
「日本は地震が多いから、仕方ない部分もあんねん。それに京都は、景観維持が厳しく義務付けられとるから、色々残っとるわ!」
「建物だけじゃなくて、ロシアは色々複雑すぎるんだよ!何でPの文字でRの発音な訳!?」
「あぁ!?ドサクサに紛れてキリル文字disってんじゃねぇぞ!日本語の50音に比べりゃ、数も少ないし簡単だろうが!」
「僕も子供の頃、ハチャトゥリアンのCD買おうと『H』の棚必死に探した覚えあるわ…普通『K』とか思わんしな」
「そんなの、ヨーロッパの言語と発音辿れば判るだろ!?そもそも日本語って、ひらがなカタカナ漢字って複雑すぎるから、どれかに統一すべきじゃない?」
「「そんな訳あるか!!」」

「リリア女史。あそこにいるのはフィギュアスケーターの…」
「──気の所為です」
劇場の外でギャアギャア騒ぐ悪童達に、リリアは眉間の皺を増やしつつ、他人のふりを決め込んでいた。
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