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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第2章 僕とおそロシア


『変化と不変』


「サユリ!やっとお前に頼む事が出来たぜ!」
「この度は、ご指名有難うございます…なんて。一緒にええプロ作ろうな」
新たなシーズンに向けて、ユーリのSPの振付を正式に依頼された純は、勇利がヴィクトルの引退後拠点を長谷津に移してからは、とんとご無沙汰していたピーテルのリンクに足を運び、そこで心身共に成長したユーリと再会した。
「今の貴方と彼なら、大丈夫でしょう」というリリアの許可を貰うや否や、ユーリは嬉々として純にメールを送り、今回のピーテル招聘に至った。
漸く成長期が落ち着き、再び戦績を重ねつつあるユーリにとって、兄のように慕う純の振付は、今後の勝利を狙う為にも必要なものだったからだ。

ヤコフにリンクへ来るように指示された純は、そこで紹介をされた。
「振付師の純だ。この中には知ってる者もいると思うが、かつてはユウリ・カツキの同期で、よく彼の振付も手掛けている。今回はユーリのプロを作りにピーテルに来た」
リンクには何人か顔見知りの姿もあり、手を振ってきた数名の選手に、純も軽く振り返す。
「…以上だ。あと、もう1つだけ言っておく事がある。くれぐれも、学校の宿題は純には聞かず各自でやるように」
ヤコフの言葉に、若手選手たちから一斉にブーイングが起こった。
「あ、休憩時間なら別にええからな?」
「サユリ、こいつら甘やかしてんじゃねぇぞ。お前らも、宿題はてめぇで片付けろ」
「そういうユーリだって、昔カツキにしょっちゅう勉強見て貰ってたじゃない!」
「自分ばっかりずるいぞ!」
「う、うるせぇ!俺は、代わりにカツ丼にロシア語教えてやってたんだから、give and takeだったんだよ!」
「ウソだー!」
「お前ら、静かにせんかバカモン!」

この頃では勇利の身長を僅かに追い越し、自分と並びそうな程になったユーリの身体の成長に反して、「あ、根っこの部分はおんなしやったわ」と、純は妙に安堵すると、彼の振付とは別に、滞在中の臨時寺子屋の開催についても考えを巡らせていた。
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