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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第2章 僕とおそロシア


『TO NEXT じゃぱにぃずSTAGE?』

「僕ハ…僕ニ……?うぅ~、クソっ」
「あはは。日本語の『てにをは』は、特殊だからね」
テキストを前に頭をグシャグシャかくユーリを見て、日本語教師の彼は朗らかに笑う。
純の大学時代の後輩で、現在はピーテルの大学に留学中である彼は、先輩である純からの依頼を快く引き受けた。
彼の適切な指導に少しずつ手応えを覚えながらも、ユーリは「どうしてサユリは、俺に教えてくれなかったんだろう」と少しだけ不満を漏らした所、彼から明確な答えが返ってきた。
「例えば、俺が全くの初心者でこれからロシア語を習おうとした時に、アルメニア訛り全開の先生を選んだとしたらどう思う?」
「それ、余程のマニアックじゃない限りやめた方がいいぞ」
「純先輩もそんな感じ。あの人、口調は柔らかいけど結構訛りがあるからね」
彼の言葉に何となく腑に落ちたユーリは、ついでに純の現役最後の試合となった昨シーズンのジャパンナショナルでの、純の演技直前に勇利達がしていた呼び掛けについても教えて貰うと、暫し口中でブツブツと繰り返す。
そんな一所懸命なユーリの姿を微笑ましく眺めていた彼は、ふとある事を思い出す。
(そういや、大学内で日露青少年交流会みたいなイベントがあったから、彼の日本語が上達したら、いつか招待してみようかな…)

「サユリ。えっと…お、お…『オキバリ、ヤス』!」
「『へぇ、おおきに』。その言葉も覚えてくれたんか。嬉しいわあ」

やがてユーリが、彼の誘いでそのイベントの日本語弁論大会に出場するのは、もう少し先の話である。
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