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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第1章 僕と勇利、時々『デコ』


『僕と姉ちゃん』


純「勇利も僕も、姉ちゃんを持つ弟共通の苦労あるよな」
勇利「幾つになっても頭上がらないのは確かだよね」
純「僕は姉ちゃんと10歳離れとるから、実家の店が忙しいのもあって、子供の頃は親代わりやったわ」
勇利「お姉さん、純が小さい頃はリンクまで付き添ってくれてたんでしょ?」
純「その分、練習やレッスンの帰り道にどこそこがアカンかったて家までお小言、その後はお母ちゃんに告げ口からの、お説教お代わりやったで」
勇利「純でもお説教されるんだ?」
純「今でもしょっちゅうや。勇利は?」
勇利「真利姉ちゃんは…基本僕のやる事に何も口を出してこなかったのが、申し訳ない反面有難くもあったよ」
純「僕らスケーターは、金食い虫やからなあ」
勇利「きっと、僕の為に色々やりたい事我慢してたのもあったと思う。でも…」
純「ん?」
勇利「僕がソチのGPFでボロ負けして、学生も終わって長谷津に戻ってきた時、これからどうしようか悩んでた僕に、さり気なく言ってくれたんだ。『スケート、続けるなら応援するよ』って」
純「ちゃんと勇利の事、判ってたんやな」
勇利「現金だけど、その一言で救われたんだ。僕はまだ競技続けても良いんだって」
純「お姉さんにも感謝せなあかんで」
勇利「勿論してるよ。純も、そういうのあったでしょ?」
純「僕のは痛かったかな」
勇利「痛い?」
純「ノービスなりたての頃、ジャンプ失敗する度にイライラして、ついフェンスや氷に八つ当たりしてしもうたん。それを見てた姉ちゃんが、僕を呼んだかと思うた瞬間往復ビンタ炸裂や」
勇利「あの優しそうなお姉さんが!?」
純「京女の外面に騙されたらあかん。それはさておき、余りの痛さに涙目の僕に『自分の不出来を棚上げして、道具も施設も大事に出来ひん奴のスケートなんて、たかが知れとるわ!』て。もう人目も憚らず大泣きや」
勇利「今の純からは考えられない…」
純「ある意味、姉ちゃんが僕のスケート人生のターニングポイントやったな」

しみじみ語る2人だったが、不意に互いの姉からのメールが届くと、途端に眉間に皺を寄せた。
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