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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第1章 僕と勇利、時々『デコ』


『君の笑顔』


「…面白い事言うなあ勇利は」
勇利は、こういう時の純の笑顔程怖いものはないと思っている。

ユリオ「確かに、サユリのあの目が全然笑ってない笑顔は怖ぇよな」
勇利「うん。まだ純が今のユリオくらいの頃、リンクで不満や不愉快な思いをした時に『メンチ切り』してた方が、全然怖くなかったから」
ユリオ「…お前の口から『メンチ切り』とか、何かすっげー違和感」
オタベック「だが、あの凍てついたサユリの目に射られると、少しだけゾクゾクくるな」
守道「…君って、何気にMのケあるでしょ」
ヴィクトル「アイツ、俺には結構口汚く罵ってくるけど?」
勇利「純があそこまで本音剥き出しになる方が、逆に珍しいんだってば」
クリス「俺にも割と本音を語ってるよ。外国語を話す時に母国語より雄弁になる人っているし、純もそのタイプなんじゃない?」
南「純くんは京都の人ですけん、いわゆる本音と建前社会が、他のトコよか遥かに凄そうです」
礼之「確か、ご実家が中心部にある老舗なんですよね?色々厳しいしきたりもありそう…」
純「今どきは、京都でもズバズバ本音言う奴もおるからな。まあ、僕は小さい頃から競技であちこち行っとったから、ややこしい風習いうのは否定しいひんけど」
クリス「やっぱり、日本語よりも本音を言い易い?」
純「昔から、外国の言葉はちょっと聞くとすぐ頭の中に入ってきてん。けど、クリスの言う事も一理あるかもな。何せ実家にいた頃は、夜中家族に気付かれんようにコッソリ帰宅しても、翌朝には『上林はんのトコの純坊、昨日午前様やったけど、スケートの練習きつかったん?』て、ご近所中に知れ渡ってたから」
ユリオ「うげ…」
純「僕はお気楽な末っ子で、今は外に出とるからええけど、中々面倒臭い街なのは違いないわ。でも、そんなんは何処でも一緒やからな」
勇利「僕は、そんな純の事が、昔よりも好きだけどね」
ヴィクトル「ちょ、俺がいる前で愛人褒めるの!?」
純「え?もう…面白い事言うなあ勇利は」

台詞は同じだが、目を細めて右頬に笑窪を作った時の純の笑顔を、勇利は可愛いと思っている。
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