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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第1章 僕と勇利、時々『デコ』


『All for【Yu】』

今回の勇利のEX衣装を巡り、今日も正妻と愛人(違)の不毛な戦いが繰り広げられていた。
「せやから、今回の勇利のEXテーマは『フィギュアの原点回帰』やねんから、こっちの衣装でええやろが!」
「温故知新は退化じゃないんだ!ジャンプもある分、衣装で勇利の動きに負担がかかるのは良くないだろ!」
「今シーズンは、アホみたいに競技プロで高難易度ジャンプ飛ばしよるから、その分EXでは控え目にしよ、て僕デコにも勇利にも確認取ったよな!?」
「俺は、お前のプロそのものには文句言ってない!衣装について文句言ってるんだよ!」
「2人共、リンクのど真ん中でいい加減にせんか!」
「また、始まったよ。ジジイとサユリの奴」
「純もヴィクトルも落ち着いて!僕はどっちの言い分も判るし、衣装も両方試してみたいよ。来月は日本でもアイスショーあるし、片方ずつ着心地や観てくれる人の反応を確かめてからでも良くない?」
「…それもそうやな。ほんなら僕は、勇利の判断に任せるわ。どっかの誰かさんみたいに大人気ない真似はしいひん」
「誰が何って?…まあ、勇利がそう言うなら俺も反対はしないよ」
という訳で、今回のロシアでは純の選んだ中世貴族風衣装で、そしてヴィクトル考案のシンプルな方は次回の日本で着用する事に落ち着いたのだが。

「なあ勇利、そのジャケットの色に合わせたリボンで、後ろにローテールのウィッグ着けようか?その方が、コンパルやスピンの時に映えるよ♪」
「勇利。このスカーフ、ベルト代わりに巻いてみいひん?勇利のウエストの細さが強調されて、見映えようなるで♪」
「…ヒトの衣装に反対しとるくせに、何余計な真似しとんねん」
「お前だって、ヒトの事言えるの?」
「勘違いせんといてくれ。僕はアンタの衣装に賛成した訳やないからな!」
「それはこっちの台詞だよ!お前のセンスだけじゃ物足りないから、わざわざ助言してやったんじゃないか!」
「「勇利の為じゃ(や)なかったら、お前のなんて!!」」

「あははー。愛されてるね、勇利」
「ヴィクトルがあそこまで嫉妬剥き出しにするなんてね。純も、内面相当熱いみたいだし」
「…セイサイと、アイジン」
「ユリオは、そういう日本語は覚えなくていいから」
ピチットやクリス達の揶揄に、勇利は少しだけ口元を歪めた。
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