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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第1章 僕と勇利、時々『デコ』


『ユーリ!!!・2』


何か閃いたような表情をした純は、国内外のスケート仲間達にとあるメッセージを送信した。

翌日。
無事に代役を務め終えた純は、その足で勇利のいる病院に向かった。
そこには、息子の一大事に長谷津から駆けつけていた寛子がおり、腹腔鏡手術による処置を受けた勇利も思いの外元気で、週末には退院できるという。
「純くん、この度は勇利の為に本当に有難う」
「迷惑かけてゴメン。ショーにも穴開けちゃったし、純がいてくれなかったらどうなってたか…」
「オフシーズンで良かった、て前向きに考え。それに、僕だけじゃどうにもならんかった。健坊や礼之くんの迅速なケアのお蔭や」
「そうだね、2人にも後でお礼しないと」
頼もしい後輩達を脳裏に浮かべながら、勇利は苦笑する。
「何か…今回の事で僕だけスケートの世界から引き離されて、遠い所に取り残されたらどうしようって気持ちになっちゃったんだ。体調崩すと弱気になるとはいうけど、思ったよりも僕堪えてたみたい」
「…はあ?何アホな事抜かしとんねん」
「え?」
「ええ加減勇利は、自分がどれ程周囲を惹き付けてついでに振り回しとるか、自覚しなさい。その証拠に…ホレ」
言いながら、予め勇利の病室に入る前にSNS経由で仲間達にある頼み事をしていた純は、自分のスマホを確認した後で勇利の眼前にかざす。
「…え?え?…えええええっ!?」
「僕がちょっと声掛けただけでコレや。皆、勇利が良うなるの待っとんねんで」
そこには、各々のSNSを使って「Yuri!!! Get well soon!」と題した画像がUPされており、全員があの『Yuri on Ice』のフィニッシュポーズで写っていた。
純を筆頭に南と礼之のコンビ、ロシアでは心なしか目元を赤くさせたヴィクトルとギオルギーにミラ、そして「はやくよくなれ」と日本語のメッセージも添えたユーリが、他にピチットやスンギル、クリスやミケーレ兄妹にレオ、JJ等世界中のスケーター達が、皆同じポーズで勇利へエールを送っていたのだった。

術後の仄かな疼痛に苛まれつつも、勇利は泣き笑いの表情で、スマホ越しのエールを見つめ続けていた。
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