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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第3章 僕と「はじめまして」や、その他諸々。


『僕達の熱い夜』


全日本選手権終了後。
南健次郎は、福岡に帰るチケットの都合で1日だけ礼之の自宅に滞在させて貰う事になった。
「お世話になるとです、アレクくん」
「僕も、南さんと一緒に過ごせて嬉しいです」
小さい頃から仲の良い2人は、今回も無事にワールドと四大陸への代表権を勝ち取る事ができた。
「引かないで下さいね」と案内された礼之の自室の至る所に南のポスターが張り巡らされるのを認めると、嬉しさと気恥ずかしさの一方、自分も勇利に対して同じ事をしているのを思い出して笑った。
「もう今じゃおいよりアレクくんの方が強かとに」
「僕の一番のスケーターが南さんなのは、変わらないですよ。勿論、勝生さんや各国の強いスケーターは沢山いるけど、南さんのスケートは、南さんの生き様そのものがハッキリ見て取れるんです。昔からどこまでもスケートに対して真っ直ぐで。だから、僕は南さんのスケートが大好きなんです」
「…有難う。おいも、アレクくんのスケート大好きばい」
「南さん…」
「アレクくーん!」
「南さーん!」
礼之の家族に「夜中だから静かに」と叱られながらも熱い抱擁を交わした2人は、互いの勇利や純関連のお宝映像や画像を前にはしゃいでいたが、やがて礼之は自分のスマホのアラームが鳴るのを確認すると、ノートPCを開いた。
「調子はどう?あのね、今ウチに南さんがいるんだよ」
スピーカーから聴こえてきたぶっきら棒な声に、南は礼之のベッドサイドにさり気なく張られたユーリのポスターをチラ見する。
礼之に手招きされた南は、モニタに映ったユーリに声をかけた。
「こんにちは、ユリオくん」
『おぅ、ジャパンナショナルお疲れさん』
「ユリオくんは、これからロシアナショナルやね」
「僕達、ワールドの切符手に入れたんだ。だから、ユリも頑張って」
『誰に向かって言ってやがる』
皮肉で返しながらも、何処か嬉しそうに礼之を見ているユーリに気付いた南は、つと何かに思い当たるような表情をする。
「ユリオくん」
『ん、何だ?』
「おいは今夜だけアレクくん家に泊めて貰うとるけど、疚しい事は一切ないけんな!」
『…馬鹿野郎!ンな事判ってるっての!』

直後、顔を真っ赤にしたユーリの喚き声が、スピーカーに轟いた。
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