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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第1章 僕と勇利、時々『デコ』


『泡夜の宴・1』


1つの伝説が終わり、新たな伝説が始まった世界選手権終了後のバンケットルーム。
その夜の主役は今大会をもって競技生活を終えたヴィクトルと、その愛弟子で今季全ての国際大会で彼を倒した勝生勇利であったが、早くも彼らは脱衣はしていないものの、泥酔モードに移行しつつあった。
「ジジイはこれ以上カツ丼に飲ますんじゃねぇ!カツ丼、お前もいい加減にしろ!えーと…『飲みスギ!酒、控えテ!』」
「ユリオ~…日本語ば上手くなったとねぇ。ええ子ええ子~」
「ギャー!離れろって!この酔っぱらいがああ!」
勇利に抱きつかれたユーリは、顔を真赤にさせながら悲鳴を上げた。
部外者のつもりが今季の勇利のEXと、本人たっての願いで現役最後のヴィクトルのEXの振付師としてバンケに招待された純は、大はしゃぎする彼らを見ながら何処か感慨深げにひとりグラスを傾けていたが、そんな彼の元へジュニア時代からそれなりに面識のあったクリスが近付いてきた。
「どうしたの?」
「んー…ちょっと。2人共馬鹿騒ぎしとる裏で、色々抱えとったんやなあて」
表彰台の上で号泣しながら抱き合っていた2人を思い出しながら、純はポツリと呟く。
「今夜は、あの勇利が最初から積極的に飲んでたしね。お互い思う所はあるんじゃない?でも、ここはバンケだから楽しまなきゃ」
殆ど空になっていた純のグラスを見たクリスが「何かおかわり持ってこようか?」と尋ねてきたが、その時物凄い勢いで今夜の主役2人がなだれ込んできた。
「純~何でヴィクトルのEXの事、おいに黙ってたと~?おいに内緒でヴィクトルと2人きりでEX作ってたなんて~」
「うわ、重っ!仕方ないやろ、デコから特に勇利には絶対秘密て口止めされてたんやから!」
「純は、おいの為ならなんぼでも力貸す、て言うたのに~」
全力で抱きついてきた勇利の身体を、若干苦労しながら支える純に、不満顔のヴィクトルが声を掛けてくる。
「愛人の分際で、何俺の勇利と抱き合ってんの?」
「…これが抱き合うてるように見えるんか?むしろはよ引き剥がしてくれ」
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