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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第2章 僕とおそロシア


『ダチの眠りを守るもの・2』


「ああ。それで俺の帰国後日本で開催されたフィギュアの世界選手権が切欠で、こうした付き合いを始めたって訳」
「そうだったんだ」
「あの時はユリオくんも、試合の後日本で彼と遊びたかったんじゃない?悪い事しちゃったかな」
「あ、いや、実は俺もあの時野暮用ができて、オタベックとの約束ドタキャンしちまったから」
「なら良いけど」
自分で発した「野暮用」という言葉に脳内で年下の恋人に謝りながら、ユーリは気遣わしげにこちらを見ている守道に返す。
「ユリオくんとしては、友達が俺のような男に誑かされてるんじゃないかって心配?」
「え?んな事ねぇよ。センセーは皮肉っぽいトコあるけど良い奴なの知ってるし、それに…」
小声とはいえ、傍で自分達が会話しているのに眠り続けているオタベックに視線を移すと、ユーリは以前オフで彼がロシアに訪れていた時の事を思い出していた。
当時、2人部屋を使用していたオタベックの所へ泊めて貰ったユーリは、夜中に喉が渇いてベッドを下りた直後、「どうした」と隣のベッドから声をかけられた。
「悪ぃ。起こしちまったか?」と尋ねるユーリに「俺は元々眠りが浅いんだ」と眠気とは程遠い彼の表情と言葉を聞いたのだ。
そんなオタベックが今、こうして『センセー』のベッドで穏やかな寝息を立てている。
『漆黒の怪物』の時同様、「また、俺が先に知った人間を取られた」という面白くない気持ちもあるが、『ダチ』が安心して熟睡できる程気を許せる相手が『センセー』である事に、ユーリ自身も何処かホッとしていたのだ。
「とはいえ、そろそろ起こさないとね。君という友達も来てるのに」
言いながらベッドに近付いた守道だったが、ふと何かを思いついた様にユーリに向き直ると、「日本には昔、『芸能人の寝起きドッキリ』というネタがあったんだけどね」と何かを企むような目付きをした。

その後。
守道に教わった『寝起きドッキリ』を実行したユーリは、驚くどころか、羞恥のあまりシーツに潜り込んでしまった『ダチ』を、懸命に宥めながら出てくるよう説得していた。
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