• テキストサイズ

【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第2章 僕とおそロシア


『ダチの眠りを守るもの・1』


「ユリオくん、久しぶり。日本語の勉強は続けてるかい?」
「おぅ、今はリリアに紹介して貰った日本人に習ってるぜ。次の目標はN3だ!」
オフを利用してカザフに訪れたユーリは、守道と再会を果たした。
友人であるオタベックとは明日約束をしているので、先に守道に会っておこうと思ったのだ。
「センセーは、オタベックと顔合わせたりしてんのか?」
「同じ学校だし時々ね。カザフ留学に関しては、父の友人を通じて彼と彼の家族にも世話になってるし」
かつて『サユリ』こと純経由でオタベックと初対面した時の、お世辞にも良好とはいえない雰囲気を醸し出していた彼らを知っているので、守道の返事に棘がないのを認めたユーリは、内心で安堵する。
「久々にセンセーの手料理食べたい」というユーリと買い出しを済ませた後で守道の部屋に到着すると、「車を車庫に入れてくるから、先に部屋行ってて」と鍵を渡されたユーリは、ドアを開けて中に足を踏み入れると、玄関先に見覚えのあるバックパックを見つけた。
「これって…?」
次いで、寝室の方から微かに人の気配を感じたユーリは、若干の疚しさを覚えつつ、足音を立てずに近付きながらドアを開けた瞬間、もう少しで手にした荷物を取り落としそうになった。
何とそこには、ユーリの『ダチ』が守道のベッドで眠っていたからだ。
自分の息を呑む音にオタベックが起きたのではないかと焦るユーリだったが、ベッドの中の友人は、すっかり熟睡していて目を覚ます気配はない。
「…仕方のない奴だな。また練習の後で俺の部屋に上がり込んでたのか」
いつの間にか戻ってきていた守道が、言葉とは裏腹に優し気に目を細めているのを見て、ユーリは自分の中での疑惑が確信に変わるのを覚える。
「あー…ひょっとしてセンセーって、オタベックと、その…」
「──まあ、そういう事になるね」
肩を竦めて肯定の返事をした守道に、ユーリはただ呆気に取られるしかできなかった。

「俺だけで話す事じゃないから」と前置きしながら、守道は自分とオタベックが親しくなった経緯をざっくりとだけ説明した。
「それじゃセンセーは、父ちゃんの手伝いをしに行ったモスクワで、偶然オタベックに会ったのか」
/ 230ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp