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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第1章 僕と勇利、時々『デコ』


『賢者?の贈り物・2』

頭痛を覚えてきた純は、ヴィクトルの返事も満足に聞かないまま電話を切ると、改めて彼から押し付けられた下着を見た。
デザインは、ヴィクトルが普段愛用しているビキニタイプで、色は落ち着いたネイビーだが素材が細かいメッシュ状になっている。
「…アホらし。昔から着替えとかで僕の下着も裸も知っとるヒゲが、今更パンツ1つでどうこうなるかいな」
その時、風呂が沸いたアラームが聞こえてきたので、純は電話前より心身共に疲労感を覚えながら浴室へ移動した。
入浴後、濡れた髪を拭きながらうっかり持ってきたままだったヴィクトルからの下着を、仕方ないのでそのまま身に着ける。
「あ、Tシャツ忘れた。…ま、ええか」
ドライヤーで髪を乾かした後、下着の上に使っていたバスタオルを首にかけた姿で浴室からキッチンに移動した純は、リビングのソファでTVを観ている恋人の藤枝に声をかける。
「お風呂お先な。ヒゲも、お湯が冷めん内に入った方がええよ」
それだけ言うと、純は藤枝に背を向ける格好で冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出そうとしたが、不意に背後に気配を感じて振り返る。
「…ヒゲ?どないし──」


(…前言撤回や、デコ。僕が中年男の性欲舐めとったわ)

かつてない荒い息遣いで時折自分の名を呼びながら律動を繰り返す恋人を見上げる純の視界には、自分の片方の足首に絡まった下着が映っていた。
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