第3章 お前がいねえと調子でねーとか、俺どっかおかしいのか?
「浅倉はどうした?」
いつもなら部員達よりも早く体育館にやってくる浅倉の姿が無く、思った事を何の考えも無しに口にした。
「そう言われてみればまだ来てないみたいだな。」
黄瀬の隣にいた小堀がそう答えると、浅倉と同じクラスであり、自称浅倉と仲がいい黄瀬が今日は浅倉っち来ないっスよ!と答えた。
「は?何でだよ。」
「今日は中間報告って事で新聞部の方に行くって言ってたっス。」
「連絡受けてんならちゃんと報告しやがれ!」
黄瀬に足蹴りを入れると、黄瀬はだらしない声を上げた。
「にしても珍しいな。笠松が女子を気にかけるなんて。浅倉さんだからか?」
「は!?何言ってやがる!?毎日来てんのに、急に連絡も無しに来ねえから気になっただけだ!とっとと練習始めんぞ!」
森山に指摘され、普段の俺なら女子がいようがいなかろうが、そんな事、気に止めなかったのに、何の考えも無しに浅倉が居ない事を気にかけていた事を口にしたという事実がどうしようもなく恥ずかしい事のように思えて仕方なかった。
いつも通り練習してるつもりが、何故か調子が上がらず、ボールが手に馴染まなかった。それを黄瀬に指摘された事が余計腹立たしかった。