第2章 女の子は脆いんだから
「それで?弁明があれば聞いてやると言ってるんだ…早く言え」
なんだかさっきよりもグッタリとした美少女を抱き締めながら、カラ松の低い声はそれだけで空気をはりつめさせる、その刺すような瞳は人一人殺せるんじゃないかというほど冷たい。
おそ松もトド松も、今詰問されている一松も、カラ松が只今絶賛キレキレ中なのをピリピリと肌で感じていた、こうなったら長男であるおそ松でさえ下手に手は出せない。
普段から温厚で優しい次男坊が怒る事はまずないが、そうゆう人間がキレたら面倒なのだ。
震えながらも一松が口を開く。
『お、おれ…クソま…カラ松兄さんだと思ったから…だってアンタのパーカーき、着てるし、まさか…家で女の子が寝てるなんて思わなかったから…いつもみたいに…』
「だから…いつもオレにするように暴力と暴言を吐いたというわけだな?」
「女の子だとは思わなかったんだぁぁぁ!!!ガラ松兄ざんご、ごめんなざいいいぃぃぃ!!!!」
カラ松の威圧感と恐ろしさに、一松は土下座のまま泣き出してしまった。
「はぁ…、謝る相手が違うだろう、オレにならばお前の暴言暴力も甘んじて受けてやるがな、なみえはそういう世界とは無縁なんだ、彼女の前では以後気を付けて振る舞ってくれ」
そう言うと、カラ松は抱き締めていた腕を緩め、なみえのサラサラの頭を撫でようとした時、クタリと意識を失ったなみえの異変に気付く。
「ばびぃぃぃぃぃ!!!ずびばぜんでじだぁぁぁぁぁ!!」
「ノォォォォッッ!!!なみえ!!目を開けてくれ!!なみえーーー!!!」
一松は土下座の大号泣、カラ松は女の子を抱えて叫んでいるし、おそ松は笑い過ぎて腹を抱えて悶絶、トド松はトッティフェイスのまま気絶している。
たった今帰宅したチョロ松と十四松は目の前の地獄絵図に暫し呆然と佇むのだった。