第10章 不自由?しょうがないよね
台所に入るとホッと息をつく、カラ松お兄ちゃんの匂いをがっつり嗅いでるなんて絶対言えない…危ない危ない。
さっ、トンカツを揚げなきゃね、割烹着を着て、カレー鍋と油を入れた揚げ鍋を火に掛けると、冷蔵庫からすでに衣を付けてあるトンカツを取り出す。
お兄ちゃん達はパン粉が大きめのザクザクした食感が好きなんだっておばさまから教えてもらった、後その方がボリューム感が増すんだって、さすが六つ子を育てただけあるよね♪
油が150~160℃の低温で揚げる、数が多いからサクサク揚げていく、油切りのバットに一度上げてから、火を少し強めにしてもう一度潜らせるとカラリと揚がるのよね。
カレー鍋も同時に混ぜながら温める、ご飯も炊けてる、後はトンカツを切ったら盛りつけてカレーを注ぐ。
サラダも大きめのサラダボールに盛りつけてるから好きに食べてもらったらいいよね、勿論シーザーサラダだからクルトン、温玉、粉チーズは外せない、ドレッシングも手作り。
はい、完成!!これは運ぶのを手伝ってもらわなくちゃ、台所から顔を出してお願いする。
『お兄ちゃん達、誰か運ぶの手伝ってもらっていい?』
「ハイハーイ!手伝いマッスル!」
十四松お兄ちゃん…うん♪ちゃんと臭い落ちてる!自然と笑顔になる。
『ありがとう♪十四松お兄ちゃん!これとこれお願いね』
「うん!まかせてーっ!」
ピタッ…持って行こうとした十四松お兄ちゃんが振り向いた。
「なみえちゃん…さっきはごめんね…ぼくの事まだ怒ってる?」
あ…さっきの…気にしてたんだ…悪い事しちゃったかな…、私は十四松お兄ちゃんの首もとに顔を近付けるとクンクン匂いを嗅ぐ、石鹸のいい香りがする。
『うん♪いい香り…大丈夫だよ?怒ってたわけじゃないんだよ、ただ私…少し鼻が敏感だから過剰に反応しちゃっただけだよ?私の方こそ逆にごめんね…』
「あは…、よかったーっ!嫌われたかと思ったっ!!」
まぶしい笑顔でそう言う十四松お兄ちゃんが可愛いと思った、お兄ちゃんの頭を撫でながら笑顔で言った。
『十四松お兄ちゃんを嫌いになるなんて絶対にないよ?』
「タハー////照れるっス!!これ持っていきまっスル!!」
『うん♪』
赤い顔で照れるお兄ちゃんが凄く可愛く見える、なるほど…これが母性本能をくすぐられるって事なのかな?