第10章 不自由?しょうがないよね
トド松お兄ちゃんはキッチンチェアに座ると、私がクッキー生地の型抜きをしているところを自分のスマホで撮りだした。
おそ松お兄ちゃんは食べた後すぐ出掛けたみたい、カラ松お兄ちゃんは自分の買い物、一松お兄ちゃんは近所の猫ちゃんに会いに、十四松お兄ちゃんは野球だって、それぞれが出掛けていっちゃった、チョロ松お兄ちゃんは家にいるけど何してるんだろ?
「うわぁ♪このクッキー型ってなみえちゃんのでしょ?あっ!この型可愛い♪」
『でしょ♪出来上がったら味見よろしくね♪』
オーブンプレートにクッキングペーパーを敷き、上に型抜きをした生地を並べる、それをあらかじめ180度で余熱しておいたオーブンに入れて焼く、だいたい10分~15分ぐらいだけど、松野家にあるオーブンは初めて使うから焼き色の様子を見ながらかな。
量は少し多めに作るつもりだから何回か同じ事の繰り返し、一回目が焼けた、うん♪いい色。
『トド松お兄ちゃん、味見お願い♪焼きたてはしっとりだけど冷めたらサクサクで違う食感が楽しめるよ』
「えっ?じゃあ焼きたてしっとりは今だけなんだ!?やったぁ♪なんか得した気分!」
ミトンで取り出したオーブンプレートからお皿に移してトド松お兄ちゃんの前に置く。
「いただきます♪」
お兄ちゃんは1つ摘まむと一口かじる、食べ方も女子力溢てる。
『どうかな?』
「うん♪すっごく美味しいよ!これが後でサクサクになるんだね、楽しみだよ♪」
『よかった♪』
「なみえちゃんも食べてみたら?はい♪あーんして」
トド松お兄ちゃんが1つ摘まんで私の口に持ってくる、なんか…恥ずかしいな…////
『あ、ありがと…』
一口は大きいからかじる…って、あっ!口に加えたクッキーから手を離してトド松お兄ちゃんが私の口からはみ出た部分にパクリと…えぇ~と…ち、近い…お兄ちゃんの唇がふれる…。
『ん……』
お兄ちゃん…一口が大きいよ////
「うんっ♪どっちも甘くて美味しいよ////ごちそうさま♪キスはダメなんて言われてないもんね♪」
トド松お兄ちゃん…少し顔赤いよ…きっと私もだけど。
『い、いきなりは反則だよぉ…』
「可愛いよ…なみえちゃん…」
「させるかよっっ!!!」
もう一度キスをしようとするトド松お兄ちゃんが消えた。