第8章 長兄は何かと大変なの!
「なみえ、何してるんだ?オレも手伝うぞ」
『あ、カラ松お兄ちゃん♪掃除は終わったし、朝ご飯遅かったでしょ?お昼どうしようかと思って、好きな時に食べれるようにおにぎりとおかずを作っておこうかなって、後は晩御飯の下拵えと、おやつにクッキー焼こうと思って生地を寝かせなきゃいけないから今からやっておくの♪』
「オレの出来る事はあるか?」
『んー…ないかな?カラ松お兄ちゃんは好きな事してていいよ~♪』
「そうなのか…フム…じゃあここで見ててもいいか?」
『えっ?い、いいけどなんか…恥ずかしい…////』
オレがキッチンテーブルの椅子に座るとなみえは冷蔵庫から麦茶を出しグラスについでオレの前に置く。
「昨日まで冷蔵庫になかったぞ?わざわざ作ったのか?」
『大げさだよ、ただ沸かすだけなのに、それにね、昨日おばさまから色々教わったの♪』
クスクス笑いながら、作業する手を止めないで話すなみえは普段から慣れているのだろう、動きに無駄がない、頭の中で次にどう動くか整理しているんだろうな、実際彼女は頭がいい、ただ天然なだけで少し残念に見えるだけだ。
『家事料理は慣れてるけど、その家のやり方ってあるから、その辺の注意事項とか?まぁ色々?あっ、お兄ちゃんこれ味見お願いしていい?』
なみえはだし巻き卵を口に持ってくる、オレはパクリと頬張ると咀嚼して飲み込む。
「うん、うまいな」
『よかった♪卵料理ってシンプルだからこそ味付けが難しいのよね』
そう話ながら楽しそうに調理するなみえを見ているだけで時間を忘れるようだ。
『あっ、忘れるとこだった、夕方でいいから洗濯物取り込むのだけ手伝ってもらえる?』
「フッ…まかせてくれ!」
なみえはチラリと時計を見ると
『もうこんな時間だね、一通り終わったけどどうしようかな…』
「それなら俺達の部屋へ来てもらえるか?おそ松がなみえの手が空いたら会議を始める、と言ってたんでな」
『うん、わかった、何かいる?』
「取り決めとかだからな、メモる物があったほうがいいな」
『持ってくるね』
割烹着を脱ぎ、畳んで椅子の背凭れに掛けると、自室へ行ってしまった。
オレは階段でなみえを待つ、さすがに今日は一人でオレ達の部屋に来るのは緊張するだろうしな…。