第5章 No.4 ちょっとだけ。
マイク『さァて!!!
一回戦五試合目いくぜ!!
お前ら何気に気になってんじゃねえのか!?
障害物競走じゃ同じA組の緑谷と同着で1位通過!
その次の騎馬戦じゃあどう言う訳か姿を晦(くら)ませやがってた・・・』
まあ、騎馬戦はオネイロスでモブキャラになってたから姿の見えない500万Pより緑谷くんの500万P狙われるよね。
A組のみんなにも解らない顔じゃ、行方晦ましたって思われても仕方なしだよね。
選手入場口から、1歩1歩歩いて会場に入る。
前方からは芦戸さんが気合い満々と言った表情で歩いてくる。
マイク『ヒーロー科、神和零无!!
対(バーサス)、身体能力こそそこらの女子よりダントツ!その潜在能力もまだまだ未知数!
同じくヒーロー科、芦戸三奈!!』
芦戸「よーし!
負けないよー・・・!」
零无「気合い入ってるねー・・・でもごめん。
私も負ける気、全然無いんだ」
マイク『START!!』
ダッ
開始の合図が告げられて、私と芦戸さんが動いたのはほぼ同時だった。
芦戸「センテヒッショー!!」
ジュワッ!
さすが芦戸さん。
一気に私との距離を、自分の“酸”が届く所まで近付いてすかさず私に向けて攻撃してくる。
純粋な身体能力で言ったら、芦戸さんとはどっこいどっこい。多分。
“個性”使用不可の勝負だったら、試合が長引いてた。
・・・でも、ここは雄英高校。
“個性”なら使ってオーケー。
零无「属性召喚・オケアノス」
〝大洋地果(オーケアニデス)〟!!!
芦戸「!!?」
ゴポ・・・ッッ!!
私が呪文を唱えると、私に向かって飛んできた酸と芦戸さんを丸ごと包む様に瞬く間に水が出現する。
大きさから言うと、大体直径3mくらいの水の塊が芦戸さんを包む。
芦戸さんは慌てて口を閉じて水中から出ようと手足を動かす。
・・・やっぱこれだけじゃ気を失ってくれないか。
零无「芦戸さん、ちょっと痺れるよ。
属性召喚・キュクロプス」
〝三雷(アルステブロン)〟
・・・バチッ!
芦戸「・・・ッ!!!?」
まだ水中に居る芦戸さんに向けて、身体が麻痺するレベルの電気を発生させた。