第4章 No.3 おなじだけどちがう。
私がそう聞けば、心操くんは「は?」と素っ頓狂な声を出した。
心操「・・・初対面のお前の事操ろうとした奴と組むのかよ」
零无「え?
だってそれが心操くんの“個性”なんでしょ?
別にそれだけじゃん」
心操「・・・・・・ヒーロー向きの“個性”じゃないのにか?」
零无「はは、それ私と同じ」
心操「・・・・・・は?
・・・どこが同じだよ。あんたのは何でもかんでもやってのけちまう、ヒーローにぴったりな“個性”だろ。
俺の他人を操るのとは違う」
零无「んー、まあそだね。
“個性”持ちってのは同じだけど、その能力が違う」
心操「・・・だったら、」
零无「けど。
自分の“個性”をあんまり好きじゃないのは、君も私も同じだよ」
心操「!」
目を見開く心操くん。
なんだ、やっぱり同じじゃん。
・・・同じだ。
自分の“個性”をあんまり好きじゃない、むしろ嫌いな人。
私だって、願うなら・・・望めるならこんな“個性”じゃなくて普通の“個性”が良かった。何度も何度も、思った。
零无「それでー?
やってくれるの?騎手」
心操「・・・・・・いいぜ。
やってやるよ」
零无「ん、よろしくー。
てか尾白くんと庄田くん大丈夫なの?」
心操「心を操るだけだ。別に命に危険が及ぶような事は命令するつもりはない。
・・・ハチマキ、受け取ってくる」
零无「ん、いてらー」
・・・・・・ねえ、轟くん。
私の“個性”がどこかの誰かに羨まれてるのと同じように、私は轟くんの“個性”好きだよ。
氷と炎、炎の方はまだ見た事ないけど。
・・・“個性”ってのは、遺伝する。
多分だけど・・・轟くん、個性婚で産まれたんだよね。
“個性”の強化を目的にして配偶者を選んで、結婚する・・・今の時代じゃ批判殺到ものの発想。
・・・それでも。
・・・そうだとしても。
私は・・・。
零无「・・・“普通”の君達が、すごく羨ましいよ・・・」
ミッドナイト先生の「いよいよ始めるわよ」の声を聞きながら、私はハチマキを持って戻って来た心操くんに手を振った。