第1章 No.0 やり過ぎ要注意。
ある所に小さな小さな女の子が居ました。
白い空間。
黒い天井。
灰色の床。
それが女の子の世界でした。
「・・・・・・おはよ・・・」
「はいおはようさん」
「ん。
・・・今日は学校?」
「いや。お前の個性届、まだ市役所に出してなかったから出しに行く。
なんだかんだで出せなかったからな」
「あ、なるほど」
その女の子には、親が居ませんでした。
「これ、アパートの地図と部屋の鍵な。
それから、ほいこれ」
「?」
「引篭り卒業おめでとうって事で、祝いのスマホ」
「え」
「要らねえとか言うなよ。
精神的プレゼントはやれたかもしれんが・・・長年付き添いやっててお前に物理的プレゼントはやれてねえんだからよ」
「・・・・・・ん、ありがとう」
「おう」
その女の子には、“個性”がありました。
「んじゃまあ、やり過ぎない程度に頑張れ」
「・・・ん。頑張る。
行って来ます」
その女の子には、夢がありました。
ギィ・・・
零无「・・・・・・!
空・・・・・・綺麗・・・。これが・・・世界・・・」
幼子から、少女へ。
これは神和(かんなぎ)零无と言う1人の少女が、思い描く夢を掴むまでの果ての無い物語。
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