第5章 No.4 ちょっとだけ。
マイク『それでこの爆風てどんだけ高熱だよ!
ったく何も見えねー・・・オイこれ勝負はどうなって・・・』
ミッド「っ~~~・・・。!」
ズルズルと、引き摺るような音が聞こえる。
ミッド「緑谷くん・・・・・・場外」
轟「─────・・・」
ミッド「轟くん───・・・三回戦進出!!」
砂煙が晴れてきて、やっと見えた光景。
それは緑谷くんが場外の壁にぶつかって倒れて、轟くんが場内に居た光景だった。
例によって、ロボに担架で運ばれていく緑谷くん。
少しの間、呆気に取られていた麗日さん達はハッとした様に慌てて席を立って走って行った。
十中八九、緑谷くんの所に向かったんだろうな。
・・・まあ、会場がボロボロだし少しの間は余裕あるよね。
少しして轟くんが戻って来る。
・・・なんか、あんま変わってないようにも見えるけど少し変わった・・・かな?
会場がセメントス先生の“個性”で直されて、始まった飯田くん対塩崎さん。
やっぱ機動力抜群だね。開始してすぐに騎馬戦の時にもやった、レシプロバーストで塩崎さんが背を取られて場外。
そんな早く終わるとは思ってなかったけど、私は常闇くん対策を考えながら控え室に向かった。
零无「(んー・・・常闇くんの“個性”・・・。
影だよね。それも常闇くんとは別に意識があるようにも思える・・・)
・・・ん?・・・・・・影・・・って事は光・・・??」
・・・試してみる価値は、ある。
可能性があるなら、やってみよう。
何せ私の“個性”は・・・チートなんだから。
・・・・・・轟くん。
やっぱりさ、違うんだよ。
君と私は強い“個性”持ってるのは同じ。
だけど、違う。
“個性”の内容も違うし、誰かに受け継いだとかの経緯も違う。
みんな一人一人違う。
・・・・・・みんなを信用してない訳じゃない。
寧ろ1-Aは強いし、眩しいくらいだ。
ただ、私が怖いだけ。
喜ばない。怒らない。悲しまない。楽しまない。
言葉だけでしか感情を伝える事の出来ない私が。
“だいすき”なみんなに、バケモノって思われたくない。怖い。
だからごめんね。
もう少し。
もう少しだけ、時間をちょうだい。
いつかきっと、話すから。