第40章 『はじまり』のおわり
組合の長であるフィッツジェラルドは生死不明。
トップを失った組合は混乱し、末端では略奪まで起こっている。
良くも悪くも、フィッツジェラルドの牽引力だけで持っていた組織だったからだ。
敦を狙撃したトウェインは本国へ帰り、参謀であるオルコットはフィッツジェラルドを探しに、事務員を拉致しようとしたスタインベックは組合の内乱を治めるために動く。
中也の『汚濁』で破壊された身体が再生したラヴクラフトは、撃沈した白鯨を眺めていた組合メンバーと合流したものの、「これからどうするのか」と聞かれ、「寝る」と答えて海へ飛び込んだ。
ラヴクラフトのことは、メンバーも最後まで謎だった。
白鯨に最後まで残ろうとしたメルヴィルは、実は二代前の組合の長であり、終結した異能力戦争の後始末に動く特務課に協力することに。
その背を、小さな白い鯨が追いかけたことを、本人は気づいただろうか。
探偵社のビルの一階にある喫茶店に住み込みで働き始めたモンゴメリと敦が再会するのは、少し先のお話である。
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