第39章 光を夢見る少女
「どうかな。もう限界だろう? 組合の長を倒したんだから」
そして、太宰は芥川の肩に手を置いた。
「強くなったね」
太宰の言葉を噛みしめているのか。
数秒間瞬きもせずに固まった芥川は、やがて糸の切れた人形のように倒れた。
「ありゃ」
「むぅ……龍くんばっかりずるい」
頬を膨らませて、詞織が太宰の腕を抱きしめる。
そんな彼らのやり取りに苦笑していると、港の海の向こうに見える並んだ人影を見つけた。
国木田を始め、谷崎兄妹、賢治、与謝野、乱歩が並んでいる。
全部、守ることができたんだ。
何一つ失うことなく。
顔を上げれば、澄み渡る青空が広がっている。
こうして――横浜を巻き込んだ、巨大な異能力戦争は幕を閉じた。