第39章 光を夢見る少女
「いいかい、鏡花ちゃん。君は探偵社の全てを知らない。自分自身の全ても知らない。全てを知ることは誰にもできない。それを『可能性』と言うんだ」
鏡花の手を引いた敦も、元は災害指定猛獣。
その元災害指定猛獣である敦は、命を懸けて戦っている。
街を守るために。
そう、太宰さんは続けた。
「鏡花ちゃん。君が望むなら、殺しで生きる道を用意してやってもいい。けど、君の苦悩は君だけのものじゃない。“なりたいモノと向いているモノが違うとき、人はどうすればいい?” 生き方の正解を知りたくて、誰もが闘っている」
何を求め闘うのか、どうやって生きるのか。
答えは誰も教えてくれない。
あたしたちにあるのは、迷う権利だけ。
どぶ底を宛てもなく走る、土塗れの『迷い犬たち(ストレイドッグス)』のように――……。