第21章 組合の長と探偵社社長
「嫌われない、かな……?」
あたしは、人殺しだ。
泉 鏡花以上に、あたしは多くの人間を手に掛けた。
そのことを後悔なんてしていない。
それがあたしの仕事だったのだから。
怖いのは、過去の自分に戻ってしまうこと。
良い人間になれないこと。
探偵社にいられなくなれば、良い人間にはなれない。
良い人間になれなければ、太宰さんと一緒にはいられない。
今、あたしが太宰さんと一緒にいるのは、作之助の最期の言葉を守るため。
探偵社にいられなくなったら、あたしは――。
不安が募り、あたしは無意識に太宰さんの服をギュッと握りしめる。
すると、太宰さんは苦笑しながらあたしの頭を撫でた。
「何も心配するこ