第20章 彼と少女の恋愛事情
詞織の私に対する想いは恋愛感情ではない。
ヤキモチを妬くのも、大好きな兄が自分以外の女性を相手にしているのが気に入らないのと同じ理屈。
それを私が上手く誘導して、『恋愛感情』だと錯覚させているだけ。
それでも、私は構わなかった。
たとえ錯覚でも、詞織は私のことが好きで、私以外を愛することはない。
これから先もずっと。
私は詞織の身体に触れ、小さな唇に口づける。
「だ、太宰さん? またするの?」
「するよ? 私としては、ずっとしていたいのだけど」
「そ、そんなのムリだよ!」
微かな抵抗を見せる彼女を力でねじ伏せ、私は強引に行為を続けた。
次第に抵抗する力を失い、詞織は甘い声を漏らす。
「出社しないとっ、国木田に怒られ……」
「おや。他の男の名前を出すなんて、随分と余裕ではないか」
軽く嫉妬した私は、これ以上何も言えないように唇を塞ぐ。
「別にいいさ。明日マフィアから脱出したことにするから」
私はそう笑って、再び詞織の身体に甘い口づけを落とした。