第15章 鏡の襲撃者
僕と敵の異能力者が同時に階下を見下ろすと、そこには、紅い瞳で暗殺者を見据える詞織さんの姿があった。
異能力――『血染櫻・櫻狩』
紅い壁が解け、僕の右腕に絡みつくと、それは獣のような大きな爪を持った拳を形成する。
まるで、虎の腕のように。
「《敦、後は任せる》」
「――はい!」
僕は男に迫る。
敵の異能力者は鏡を生み出す能力で迎撃してきたが、僕はそれを叩き落とし、握り潰した。
しかし、死角に生み出された鏡にまで僕は気づかなくて――……。
男がニヤリと笑ったが、それは詞織さんが階下から伸ばしてくれた血液によって防がれる。
「……⁉︎」
驚いて階下を見た男の隙をつき、僕は暗殺者に渾身の一撃を入れた。