第1章 序章 【舞風】
「すごい……」
村の大通りには、所狭しと屋台が並び、人の賑わいも半端じゃなかった。
それほど大きくもないこの村が、しかし、物凄くごった返している。
確か、この村の特色は、四季折々の絵巻物や装飾品だと仕事仲間が言っていた(気がする)。
このような辺ぴな地方には珍しく、興味を持った人や行商人が集い、商品を売りさばき、だからこそ田舎でもこんな賑わいになるのだろう。
一人勝手に推測を立てて納得したわたしは、うんうんと頷いて、それから辺りを見回す。
お菓子とか、あったらいいなと考えながら。