第21章 WC予選
「…真君は、どうしてバスケを始めたの?」
「いきなりなんなのだよ。」
「気になったから…。」
「…勉強の息抜きに始めたのだよ。」
「…」(そ、それでここまで上手くなるって…いったい…。)
「お前がバスケを好きになった理由はなんだ?」
「え?」
「中学の頃もマネージャーをやって、高校でもマネージャーをやっているだろう。俺が知る限りで約4年。いくら間近で選手を見ているからと言っても、そこまで人間を観察する能力がつくものなのか?」
「…正確には8年かな。選手を間近で見始めて。」
「…」
「バスケを好きになったきっかけは、お兄ちゃんがいたからなんだ。」
「…佐野先輩か。」
「うん。お兄ちゃんは、10歳の時にバスケを始めたんだ。それで、ずっと見学しに行ってて、気づけばこうなってた。」
「……大雑把にも程があるのだよ。」
呆れているようだった。私はまた歩き始めた。
「でも、お兄ちゃんがバスケを始めていなかったら、今私はここにいないし、バスケを見ることもプレイすることも楽しいとは思ってなかったと思う。」
「…わからんな、バスケに楽しいも楽しくないもあるはずがないのだよ。」
「…そうだね。でも、いつかわかるよ、真君にも。」
「随分上から物を言うようになったのだよ、菜月。」
「フフッ…ゴメンなさい。」
つい笑ってしまった。
「…明日の試合、楽しみにしてるね。」
「あぁ。」
「…絶対負けないから。」
「フンッ…次こそ勝つのは秀徳なのだよ。」
「誠凛だよ?」
「寝言は寝て言え、バカめ。」
「あ!またそういうこと言う!」
それから……次の日…。