第21章 WC予選
それから次の日…。
「菜月~。今日、ウィンターカップの予選だろ?頑張れよ~。」
「…頑張るのは私じゃないよ。」
「お前も頑張るんだよ、精神面でな。」
今、家には私と兄しかいない。お母さんはまだアメリカにいる。
「…ゴメンな…?家、1人にさせて…。」
「…別に。前々からそうなるかもしれない。って思ってたから。」
「…母さんもすぐに帰ってくると思うから。少しの間、1人で頑張れるか?」
そう聞かれ、私は頷いた。今日、WC予選の日。兄はアメリカに行くことになり、もう行く準備万端。
「…ウィンターカップ、観たかったなぁ…。」
「観に戻ってくればいいのに、その日だけ。」
「そうも行かないんだよなぁ…まだわかんねぇけど…。」
兄と一緒に玄関まで行った。
「…じゃ、行ってくるわ。」
兄の方が先に家を出る。
「…うん、行ってらっしゃい。」
「…なんかあったら、すぐに連絡してこいよ?どこにいようと、お前のこと助けるから。」
「ありがと。早く行けば?」
「え…酷くない?」
「冗談だよ。」
すると、兄は私の頭を撫でた。
「ありがとな?」
「!…何が…?」
「…菜月がいたから、強くなれた。人間離れした観察力で、俺のバスケを観察して、アドバイスをしてくれた。俺がここまでバスケを続けられたのも、お前のおかげだ。だから、ありがとう。我が妹ながら、俺も鼻が高い!」