第20章 紫色の…
「なんでもねぇ。もう切るわ。」
「え、う、うん。」
「じゃあな。」
電話が切れた。
「…なんだったんだろう…。」
よくわからないまま、携帯をしまって更衣室を出て、体育館へ向かった。
「…あれ…。」
皆、帰ってしまったのか、誰もいなかった。体育館の鍵がステージの上に置いてあった。
「…」
鍵を手に取り、握り締めた。
「…」(本当に…勝てるの…かな…。)
正直言って、ストリートバスケの試合。もしかしたら…負けていたのかもしれない…。
そう思うと、いてもたってもいられなくなる。
「…」
手の力を緩め、気を抜いた時だった。
「何してんだよ、こんなとこで。」
「!…」
声が聞こえ、振り向いた。
「…大我君…。」
「皆、もう帰っちまったぞ?お前のカバンあったから、もしかしたら…って思って…見に来たんだけどよ。」
「……大我君は…キセキの世代の皆に勝てると思う?」
「あ?」
「…涼太にも勝って、緑間君にも勝って……大我君のバスケへの熱意は、凄いと思う。…でも…考えちゃうんだ…青峰君に負けたあの日から…。」
「…」
「…もしかしたら…また負けちゃうんじゃないか…って…。」
皆のことを信じたい。でも…それ以上に、キセキの世代の皆が強すぎて……。こうして、信じられない自分が嫌になる。
「お前さ、ごちゃごちゃ考えすぎなんじゃねぇの?」
「!…」
「別に、今勝たなきゃいけねぇってわけでもねぇだろ。」
「っ…そ…そうかも…しれないけど…でも…ウィンターカップは…」
「確かにウィンターカップで、キセキの世代の奴ら、全員ぶっ倒せたら、それはそれで気持ちいいんだろうけど、マネージャーのお前が、チームのこと信じられなくてどうすんだよ。」