第19章 偵察

ムスッ…とした顔でそう言った黒子。


「テツ君。」

「！…菜月さん。」


私の顔を見ると、不機嫌モードからご機嫌モードに変わったのがわかった。


「次の大会はウィンターカップ予選だっけ？」

「はい。」

「…先輩も出るんだろ？ですか…？」

「いや？俺らのとこは小さい高校だから出ねぇよ？てか何その敬語のようなタメ語のような喋り方。」

「火神君は敬語が苦手みたいなんです。」

「あ～、そういうこと。じゃあ俺に敬語使って話さなくていいわ。なんかその喋り方キモい。」

「キモ…っ…！？はぁ！？」

「菜月さん、今日の偵察どうでしたか？」


黒子に聞かれ、私は答えた。


「…海常は、ほとんど…涼太と話してたから…偵察出来てない…。秀徳はいろいろ見せてもらえたよ。」

「！…青峰君のところは行かなかったんですか？」

「うん。明日行こうと思って。」

「…そうですか…。」

「菜月、帰るか。」

「え？」

「先約がいるんじゃ、後から割って入るのも悪ぃからな。」


兄はそう言うと、帰ろうとした。


「ちょっ…！待てよ！1on1、してけよ！俺と！」

「はぁ？やだよ。どうせお前俺に勝てねぇじゃん。」

「いや…やってみねぇとわかんねぇし！」

「…はいはい。」


10点先取。


「…」

「はぁ…はぁ…はぁ…っ…クソッ！」


勝ったのはもちろん兄。10対2。


「もっかい！もっかい！！」

「あ～、俺もういいや。」

「なんで！」

「なんか疲れた。」

「…」（凄いな…大我君…。）


兄は手を抜いていなかった。でも本気ではない。