第19章 偵察
「それくらい、お前は隙をいっさい見せなかった。ということだ。」
「…真君って優しいんだね。」
「!…な、なんだと…?」
「だって、隙を見せなかった。ってことは、隙を見せるタイミングを見計らってたってことでしょ?イコール、ずっと見守っててくれたってことでしょ?優しいね、真君。」
「お前は…どこまでポジティブなのだよ…。」
私は笑ってしまった。
「…お前は、今の誠凛のメンバーで、青峰を倒せると思うか?」
「…もちろん。次は絶対に負けない。」
「…そうか。」
「え…。」
「…なんなのだよ。」
「いや…てっきり…無理に決まっているのだよ。とか言うのかと思って…。」
すると、緑間は私の隣に腰をおろした。
「…今の誠凛は強い。合宿の最中、進化しているのがよくわかった。特にあの男、火神はな。」
「…」
「…あの男は、唯一、キセキの世代と互角に渡り合える人物かもしれんな…。」
そう言い、メガネをかけ直した。
「…そうだね。きっと、大我君ならやってくれるって、信じてる。」
私は微笑んだ。
「…全く…ズルい奴なのだよ…お前も…黒子も…。」
「え?」
緑間は私の頬を手で包むように持ち、私の目を見つめた。
「し…真君…?」
「…」
私も緑間の目を見つめた。綺麗な緑だった。
「俺は……お前のことが……。」
「…?」
風が吹いた。
「好きなのだよ。」
緑間から…初めて言われたかもしれない。