第19章 偵察
父も母も、もう良い歳なのだけれど、今でもイチャイチャラブラブしており…父は母に呼ばれればすぐに日本に帰ってくるし、父も母を呼べば、すぐに母もアメリカに行く。
「…はぁ…じゃあ行ってくるね。」
「お~。気をつけろよ~。」
私はまず、神奈川にある海常高校へ向かった。
「おらぁ!もっと声出せぇ!!」
「!…」(凄い怒号…。)
ジャージのまま向かった。
「…」
体育館を覗いてみると、黄瀬がいろんな人を抜いて練習をしていた。
「…凄い…。」
「お!美女発見!!」
「!…」
1人の部員に気づかれてしまい、試合が中断してしまった。
「す…すみません…。」
私は咄嗟に謝った。
「あぁっ!!菜月っち!!」
「!…」
私に気づくと、真っ先に向かってきたのは黄瀬だった。
「会いたかったッスよ!」
「あ…涼太。」
「!…いっ…え…?今…俺のこと…涼太…って…。」
「…?」
「!…菜月っちぃ~!!」
私を抱きしめようとした時だった。
「おい黄瀬ぇ!テメェ!いちゃこらしてんじゃねぇ!!」
「いったぁ!笠松先輩~!」
笠松にどつかれている黄瀬。
「試合、再開すんぞ。試合放棄するつもりかテメェ。」
「え…う…あぁ…。」
試合に戻りたいのだろうけど、私がいるから戻るに戻れないらしい。
「あ…ちょっと…見学させてもらいたいだけ…だから…。いいですか…?」
私は笠松に聞いた。すると、小さな声で、大丈夫です。と言われた。