第19章 偵察
「どこ…って……ん~…簡単に言えば、偵察…かな…?」
私がそう言うと、キョトンとした顔をした。
「偵察…ですか…?」
「うん。他のキセキの世代の皆がいる学校の、普段の練習風景とか見てみたくて…。」
「…紫原君がいるのは秋田県ですよ?それに赤司君がいるのは京都。2日じゃ時間が」
「さすがにあの2人のところまでは行けないから。青峰君と、緑間君と涼太のところだけ。」
「!…そう…ですか…。」
「テツ君も一緒に来る?」
「…え…っと…。」
葛藤していた。
「冗談だよ。練習頑張ってね。」
「は、はい。ありがとうございます。それじゃあ、頑張ってください。」
「うん、ありがとう。」
私は振り向き、歩きだそうとした。
「あ、菜月さん。」
「ん?」
「浮気しちゃダメですよ?」
「…え?」(浮気…?)
黒子は意味深に微笑むと、走って体育館に戻ってしまった。
「…うわ…き…?」
意味がわからないまま、家に帰った。
「お~、おかえり~。早いじゃん、帰ってくんの。」
「うん。出かけてくる。」
「んえ?どこに?」
兄が回転する椅子に座り、体を揺らしながら聞いてきた。
「海常と、桐皇と、秀徳。」
「ふーん。キセキの世代がいるとこ?」
「うん。」
「まあ気をつけていけよ。あ、てか今日母さん帰ってこないらしいわ。」
「え?なんで?」
「父さんに呼ばれたんだと。アメリカに行くために、今さっき家出てった。」
「!…アメリカ…って…またお父さんは…。」
父は、いきなり母をアメリカに呼ぶ。その理由は1つ。
充電したいから。らしい…。