第18章 インターハイ
「黄瀬ぇ!」
そう叫び、青峰はダンクを決めた。
「青峰っち!」
黄瀬も叫び、ダンクを決める。
どちらも譲らなかった。でも……。
「!…」(あれ…黄瀬君の…足…。)
足の向きを変えたとき、黄瀬の動きが少しだけ鈍った。
それでも、ゴール裏からシュートを打った。
「うああっ!!」
「!…」
ゴールリングの上をグルグルとボールが転がっている。そして……
ガコンッ!
見事に入った。
『わああああっ!!』
「入った!」
ピーッ!
第4クォーター、残り1分7秒。98対106でまだ海常は負けてしまっていた。
「しんどいわね。」
監督が言った。海常のメンバーは全員息があがっている。
「ほんっと疲れたぁ…。」
「アンタじゃなくて!」
「っぐ!?」
小金井にツッコむ監督。
「ここまで流れが変わらない試合は、初めてだわ。中の選手は相当精神削られてるはずよ。」
「特にキツいのは追う海常だ。長時間、8点差と10点差を繰り返し、差が縮まらないまま、時間がどんどん無くなっていく。」
私は黄瀬を見つめた。
「!…」(あの目…テツ君と同じ目…。)
だからこそだと思う。青峰は、最後まで気が抜けない。何が起こるか、わからない。
海常の選手だけではなく、桐皇の選手ももちろん息があがっていた。
「桜井!」
「!…あっ…!」
桜井がボーっとしていたのか、ボールを撮り損ねた。その隙を見て、黄瀬がそのボールを奪う。
『!…』
「均衡が崩れた!」
「海常がチャンスだ!」
『わああああっ!!』
黄瀬はボールをドリブルして走った。
「っ…。」(残り1分…。桐皇が逃げ切るか…海常が追いついて逆転するか…。)