第16章 実力
「っ…。」
「てか、お前、ごちゃごちゃいろんなこと考えすぎなんだよ。中学時代から。」
「…」
「他人のこと必死にわかろうと努力してるけど、結局は、自分のことはその本人しかわからねぇんだよ。本人の口から何も言われてねぇのに勝手に理解して、勝手に自爆して、お前はバカなのか?」
「!…」
「ちっとは頭冷やせ。本当のこと知りたきゃ、本人の聞くのが1番」
「ゴメン、行ってくる。」
「は!?いや、話はまだ…」
「もういい!」
私は走った。彼らを探して…。
どこにいるのかもわからない。でも、彼らならきっと、バスケットコートにいるはず。
走って、走って…ようやく見えた人影。
「火神君!」
「!…黒子。」
黒子が息を切らして火神に話しかけていた。私は遠くで見つめていた。
「ちょっと話いいですか?」
「なんだよ話って。」
2人は向かい合った。
「すみません。」
「あ?」
「実はまだ考えがまとまってません。」
「っおい…!」
「何から話せばいいやら…少し待ってください…。」
「今からかよ…ったく…。」
そう言うと、持っていたバスケットボールを黒子に向かって投げた。黒子がそれをキャッチすると、火神はまた口を開いた。
「ボーっと待ってても暇だろうが。とりあえず相手しろよ。やりながら考えろ。」
そして始まった1on1。夜で静かだからか、声がよく聞こえた。ボールをつく音や、靴の音まで綺麗に聞こえた。