第15章 彼ら
『ぶはっ…!?』
声が聞こえ、視線が集まる。
「ふふっ…!」
彼女は微笑んだ。
「桃井さん。」
「え…。」
私はメモを取る手を止め、彼女の方を見た。
「知り合い?」
「え…っと…どちら様?」
「え~っと、なんて言えばいいのかな?テツ君の彼女です。決勝リーグまで待てなくて来ちゃいました。」
「テツ君…。」
「黒子テツヤ君。」
『っえええっ!?』
「お前…っ…!彼女いたの!?」
「違います。中学時代のマネージャーだった人です。」
黒子がプールから上がると、さつきは黒子に抱きついた。
「苦しいです、桃井さん…。」
胸があたっている。
「何がなんだかわかんないけど…。」
「羨ましすぎる黒子!」
「いいなぁ黒子、死ねばいいのに!」
「ふふっ!」
「ちょっ…なんで黒子?さえねぇし薄いしパッとしねぇし。」
「え~?そこがいいんですよ。でも試合になると、別人みたく凛々しくなるとことか、グッときません?あと…アイスくれたんです。」
『はぁ!?』
*
「あの~。」
「ん?」
「僕もういらないんで、これあげます。」
「え?あげます。って…ゴミくれるってどういうこと?てか、酷くない?」
アイスの棒を裏返すと、「当たり」の文字が。
その瞬間、さつきのハートに矢が刺さった。
*
「えっへへ…だからぁ、ホントはテツ君と同じ学校に行きたかったの。けど…けどっ…!うわはああんっ!!」
「桃井さん、プール内は響くので大声は控えてください。」
『なっ、なんなんだこの展開…。』
「なんなのよあの子。そもそも、ちょ~っと胸がおっきくて可愛いくらいで、みんな慌てすぎよもう…!ね、日向君?」
「うん、そうだね。」
日向が一瞬にして視線をそらした。