第14章 ここからが本番
桃色の長い髪をした女の子が、右手でソーダ味の棒アイスを持っていた。
「なんたって私が惚れた男だしね。」
そう言い、アイスをかじった。
「どうかな。試合終わってみねぇとマジわかんねぇよ。」
「え?」
「どっちも土壇場に強ぇからな。だてに、全中3連覇してねぇよ。テツも、緑間も。てか、アイツ…元気かな~…菜月…。会いてぇな…。」
「あっ、ズルい!私も会いたい!」
「うるせぇ……あ~、つか、マジで会いたくなってきたわ…。」
そう言い、青髪の彼は、携帯を開いて私のメルアドを眺めた。
*
高尾は完全に黒子を見失っていた。
水戸部がシュートを決めた。
ピーーッ!
「きたぁ!残り2分!」
「ついにワンゴール差!」
ビーーッ!!
「秀徳高校、タイムアウトです!」
残り2分50秒のところで秀徳がタイムアウトをとった。点数は、76対78で秀徳の方が少し上。
火神は戻ってきて皆と話して休憩をしているのに、黒子はまだ戻ってきていなかった。緑間と話していた。
「っ…。」
正直、怖い。ここまで順調にいっているけど、ここから突き放されるか、追いすがるか…不安で胸がいっぱいだった。
「…」(きっと、残りの約3分、秀徳は緑間君で来る…。)
私は緑間を見つめた。
「っ…。」
今、彼がもの凄く怖い。
「な~に不安そうな顔してんだよ。」
「!…」
後ろから頭を軽く叩かれたかと思ったら、今度は撫でられた。
「火神…君…。」
「大丈夫だよ。」
「…ガス欠の人が、何言ってんの。」
「う、うるせぇよ…!」
「…でも、ありがと。」
「お、おう。」
「頑張ってね……信じてる。」
プレッシャーをかけるようなことは言いたくない。でも、この言葉しかかける言葉が見つからなかった。
「おう、当たり前だ。信じて待っとけ。」
「!…」
頭の上にタオルをかけられた。