第11章 お父さん
「もう1度説明するわね。…特徴は背だけじゃなくて、手足が長い。とにかく、高いの一言に尽きるわ。戦力アップに外国人選手を留学生として入れる学校は増えてる。次の相手の新協学園も去年までは中堅校って感じだったけど、たった1人の外国人選手の加入で、完全に別物のチームになってるわ。届かない。ただそれだけで、誰も彼を止められないのよ。」
一瞬、沈黙が走った。
「だからって、何もしないわけには…。」
「誰がそんなこと言った?」
「っ…。」
「というわけで、火神君と黒子君。2人は明日から、別メニューよ。」
「!…」
「予選本番は5月16日!それまで、弱音なんて吐いてる暇ないわ!」
『おう!!』
それから、皆の練習が始まる。着々と近づいてくる予選。
授業中も、寝てしまっている2人。
「…やりづらそう…火神君。」
「それでいいのよ。」
「…わかってます、考えましたね、監督。」
「ふふっ!お褒めいただき光栄です。」
嬉しそうな監督。
そして、明日…予選の時…。皆は作戦を考え、また練習。
夜遅くまで練習を続けていたチームの皆。
私も、紙に記録していく。
それから……。
5月16日、土曜日。
「全員揃ったわね。」
「行くぞ!」
歩いていく皆。
「また寝れなかったんですか?」
「う…うるせぇ…。」
体育館に入り、皆、アップを始めた。
「てか、お父さんいなくね?」
「そういえば…。」
ガンッ!
「っあぁ…。」
「ん…?」
「日本…低い…なんでも…。」
体育館の入口の上の部分に額をぶつけた。
その人こそ、まさに…【お父さん】