第10章 少しずつ…
「…アイツは、1人でなんでもやろうとしている。それじゃ、勝てるわけない。それに、キセキの世代達と同格…もしくは、それより上を目指すなら、もっと強化が必要だ。」
「…わかった。」
「彼らを変えようとするんだったら、お前ももっと、強くなれ。」
「えっ…?」
「…なんでもない。じゃ、またな。ゴメンな、部活中…か?今。」
「う、うん。」
「悪ぃ、迷惑だったよな。じゃ、頑張れよ。」
「あ、ありがと…う。」
「おう、じゃあな。」
電話を切り、私はスカートのポケットの中に携帯をしまった。
「…わかってるよ…そんなこと…。」
そう呟き、体育館に戻った。
「ただいま戻りました。」
「おっ、来た。」
「菜月さん。」
「…どうしたの?」
「見てください、これ。」
監督の携帯に写っている写真。
「…か、可愛い…。」
「え…?」
猫の写真だった。
「バカ、黒子。こっちだ。」
火神が次の写真を写した。
「!…」
「お父さんだってよ。」
「お父…さん…?」
「あぁ、パパ…なんちゃらかんちゃらって言うなげぇ名前だったから。」
「…この人、かなり身長高い…でしょ…?留学生?」
『!…』
「な、何で、わかったんだ?」
日向に聞かれ、私は答えた。
「…何か、雰囲気…っていうか…。」
「また雰囲気かよ。」
火神にツッコまれた。
「す、すげぇな…。…菜月の言うとおり、身長が高いし、留学生だ。」