第1章 からっぽの部屋
私は独り、彼と住む予定だった部屋の隅に座って思い出せる限りの彼のことを書き連ねています。
言葉はとめどなく溢れ、ノートはぎっしりと文字で埋め尽くされ、涙で文字はゆがみます。
今、私が使っているこの机は彼が学生時代から使っていたものだそうです。
ところどころにインクのついているのも彼らしさを感じさせます。
……カラン
机の下にペンを落としてしまいました。
思い出せる限りの彼との想い出は私の思った以上に多くて、書き疲れていたのかもしれませんね。
机の下に潜ってみると、どこまでと彼らしい文字が彫ってありました。