第6章 5carat*僕のGOD
「ただいまー…ってうわ、なにこれ…」
今日の6caratはそれぞれ個人の仕事で、出発も帰宅も全員バラバラ。
夕方に帰宅したさんごはリビングのドアを開けて思わず顔をしかめた。
目の前に広がっていたのはリビングテーブルの上に乱雑に広げられたジュエリーカタログ。
その奥のダイニングテーブルにも同じように広がったカタログがぐちゃぐちゃに置かれている。
キッチンには忙しそうに料理をする翡翠の姿があった。
「翡翠君、ただいま。これ…どうしたの?」
「あ、さんごお帰り!もう~どうしたもこうしたも無いよ~!片付けるの手伝ってくれる?」
翡翠はフライパンの中で色とりどりの野菜を炒め合わせながら目でテーブルの上を指し、「もうすぐ皆帰ってきちゃうよ~」と大きなため息をついた。
さんごは「いいよ」と頷くと早速テーブルの上のカタログを片付け始め、翡翠の話に耳を傾けた。
「俺今日ちょっと早めに帰ってきたんだけどさ、そしたらチャロがすっごい煮詰まってるような感じでこのカタログの海に沈んでたわけ!
声かけても聞こえてないみたいだったからほっといたんだけど、そしたらその内に部屋に上がってっちゃってココは放置!」
「へぇ…チャロ君…どうしたんだろ…」
さんごは急にチャロが心配になり2階の方を見上げた。
しかし間もなく翡翠の料理が完成になるのでテーブルを開けてあげなければならない。
まずはこのカタログの山をなんとかしようと再びテーブルに目を戻すと、チャロが書いたであろうジュエリーのデザイン画が数枚出てきた。
「わぁ…すごい、綺麗…」
パラパラと捲って見てみるが、どれもシンプルで宝石の美しさを際立たせるようなデザイン。
思わず声に出してしまうくらいの出来だった。
「へぇ~…さすがお坊ちゃんだね!ジュエリーに関しては詳しいって感じ?」
完成したお皿を持ったまま、翡翠も後ろから覗き込む。
「デザインの仕事でも来てるのかな?これでも充分いいと思うんだけど…」
「ふむぅ…ま、お腹空いたら降りてくるだろうし!そしたら聞いてみよ!」
「…そうだね。」
その日の夕飯、全員揃って食卓を囲むがそこにチャロの姿が無い。
まだ部屋にこもっているらしい。
さんごと翡翠は顔を見合わせて困り顔をした。
「僕、呼んでくるね。」