第2章 1Carat*好き嫌い
「はーい、今日はみんなの好きなもの作ろうと思いまーす!」
みんな揃ってリビングで過ごしていると、急に翡翠が手を挙げた。
その急な行動に一同揃って翡翠を見たが、またすぐに呆れ顔で自分の行動に戻っていく。
さんごだけが心配した様子で声をかけた。
「それって無謀じゃない?レストランじゃないんだから作るの大変だよ?」
「だってさ、みんな俺の料理『うまい、うまい』って食べてくれるけど、誰かしら絶対なんか残すんだもん!」
翡翠は腰に手を当ててフンと鼻を鳴らす。
「ざくろは卵料理甘くしないと食べないし、藍ちゃんはナッツ系食べないし、光黄は何してもトマト食べないし、チャロは納豆嫌いだし!」
さんごはオロオロして視線を泳がせる。
何か翡翠をフォローする言葉を探して、頭をフル回転させているのが傍目でもわかる。
「あ、あのね、でも僕、翡翠くんの作る料理ならなんでも好きだから…」
「さんごはおやつ食べすぎてご飯自体食べないじゃん!」
「あぁぁ…」
さんごは床に手をついてヘタリ込み、完全敗北でフォローを諦めた。
すると見かねたメンバーが周りに集まってくる。
「わかったわかった!じゃあこうしよう!」
ざくろがひらめいたというように人差し指を立て、自信ありげに胸を張った。