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デリバリー【気象系BL】

第9章 戦車








「美味しい…!」

「そう?良かった」


潤が買ってきてくれた材料で作った夕飯と
冷凍してあった実家の餃子


「あの日も頼んだんだよ、餃子。
また同じ物を食べられるなんて思ってもみなかった」

「いつかまたお店においでよ
ううん、俺が連れて行く。
カズくんが行ってみよう、って思える時が来たら
その時は一緒に…ね?」

「うん…」


カズくんの話を聞いていて、思う所があった
…もしかしたら、店の中に入ればあの日の事を思い出すかもしれない
それが正しい事なのかはわからない
でも何故か
そうしなきゃいけない様な気がしていた










『砂浜に座って…二人で海を眺めてたんだ
そしたら…兄さんが急に言うんだよ
なんかもう疲れた、って…
じゃあ早く帰ろうよって立ち上がったんだ
手を差し出したけど、兄さんはそれを拒んで…』


ちょっとイラッとしたんだろう
もう、知らないよ!って
カズくんはお兄さんを置いて一人で歩き出した





『ねぇ、君、一人?』


未だ使われていない海の家の方から歩いてきた三人組の若い男にそう声を掛けられて
カズくんは咄嗟にお兄さんが座ってる筈の場所を振り返った

でもそこには
お兄さんの姿はなかったんだそうだ
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