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デリバリー【気象系BL】

第1章 吊るされた男


怒涛のランチタイムを終えると
遅目の昼食をとる為に住居スペースへと引っ込んだ

あの子、食べに来なかったな
お客さんじゃなかったのかな…?


パンツスタイルにTシャツ
大き目のカーディガンを羽織っただけの飾り気のないファッションはちょっとボーイッシュで
目に掛かるほどの前髪は横に流してあって
ふわっとした黒髪で
それから…

ほんの数秒で記憶したあの子の姿
目に焼き付いてるって言った方が正しいのかもしれない

話したい。あの子と
声を聞きたい。あの子の…










「じゃあ気を付けて帰るのよ」

「うん、ありがと」

「親父と祐介もありがとね!」

「おう」

「またね、お兄」


紙袋いっぱいのお土産をぶら下げて実家を後にした
結局あの子はあの後も店に来ることはなくて
ちょっぴり…
いや、だいぶ残念で


「もう会えないのかな…」


神様は意地悪だ
なにも2日連続で俺にダメージを与えなくてもいいのに


一人になると色々ブルーだ
翔ちゃん、仕事終わったかな
風間は何やってんのかなぁ…



紙袋の持ち手がグイと手のひらに食い込む
ちょっと貰いすぎたかな
冷凍した餃子や春巻きはいいけどさ
こんな山盛りのザーサイ、どうしよう

一人じゃ食べ切れない量の実家土産を理由に
スマホを取り出して緑のアイコンをタップした
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