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デリバリー【気象系BL】

第1章 吊るされた男


“実家でザーサイ山盛りもらったの!
要る?”


すぐに既読の文字が付いた
仕事終わったんだ


“要る!”


ふは。即答だ
翔ちゃん好きなんだよね、ウチのザーサイ。


“今、実家から帰ってるとこでさ
電車だからこのまましょーちゃんち行っていい?”

“いいよ。俺ももう着くから”

“風間も呼ぶ?”

“アイツは今日、彼女とデートらしいよ”


あぁ、そうですか…







電車を降りて徒歩三分
大きなマンションが翔ちゃんの自宅で
ここに来るのも久々だ


「いらっしゃい」

「おじゃましまーす」


オシャレなマンションのはずなのに
所々に翔ちゃんらしさが散りばめられてる
脱ぎっぱなしの服とか
フローリングに直置きの雑誌とか
机の上に山積みされた資料とか。


「飲むだろ?」

「うん、じゃあちょっとだけ
あっ。餃子焼こうか?」

「マジ?
フライパンあったかな
油は…」


買ったままの新品のフライパンと
引き物か何かで貰ったという、熨斗のついたままの箱から出したサラダ油を借りて
油汚れ一つないキレイなキッチンで餃子を焼いた


「イイ匂い!美味そう!しかも羽根付き!」

「あのねぇ。
俺だって一応シェフの端くれなんだけど?」


口いっぱいに餃子を頬張る翔ちゃんを眺めながら
ちびちびとビールを飲んだ


「雅紀」

「んー?」

「直ぐには吹っ切れそうにないか?」


考えていたのは元カノの事じゃなくて
今日、会って一目惚れしたあの子の事
でもなんとなく
翔ちゃんにはその事を言い出せずにいたんだ
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