第8章 死神
…さすがに引いたかな
「ごめんなさい、迷惑だったよね」
「そんな事無い」
おでこの冷えピタをペリッと剥いで
まーくんが俺に近付いた
「ありがとう。凄く嬉しい
…いらっしゃい、カズくん」
ポンポン、って頭を撫でられて
「俺もカズくんに会いたかった」
まーくんの言葉が俺の中に染みて胸が温かくなる
「さっきの人は…?」
「あぁ、潤?
アイツは同僚。
実は昨日、仕事中からなんだか熱っぽくてさ
微熱だったんだけど、アイツああ見えて心配性でね
自分も休みなのに様子見に来てくれて。
食べるモンないじゃん、って、それでわざわざ買いに行ってくれたんだよ」
そっか。同僚なんだ
良かった
安心した
「彼、俺の事知ってるんだね」
「あー…うん。
お店教えてくれたの、潤なんだよ。
女の子の方、たまに利用させてもらってるらしい」
あの人がゲイやバイじゃない事にホッとした
もしまーくんの事を狙ってたとしたら
俺じゃ到底勝ち目が無いから…
取り敢えず座って、と手を引かれてソファーに座る
「カズくん何か飲む?
アイスコーヒーで良…」
「まーくん」
キッチンに行こうとするまーくんを
後ろからギュッと抱きしめた