第8章 死神
「なんで、ってお前が呼んだんじゃねーの?」
「やっ…キャンセルしたはずなんだけど、」
おかしいな、なんて言いながら
スマホの電源を入れてる
「キャンセルにはなってました。
ごめんなさい、俺が勝手に…」
「何? 自分の意志でまーに会いに来たワケ?」
ニヤニヤした顔のイケメンさんに顔を覗き込まれて
まーくんも驚いた顔して俺を見てて、
「…っ、はい、」
なんだか恥ずかしくなって俯いた
「へぇ…
売り専ボーイが自らの意志でねぇ…
だってよ、まー。良かったな?」
「えっ?! あ、うん…」
「ってコトで、お邪魔虫は消えるよ。
あ。お前飯作れる?
コレやるからさ、まーに作ってやってくんね?」
ハイ、って買い物袋を押し付けられて
「じゃ、
程 々 に ガ ン バ っ て ?」
意味深な言葉を残して
その人は颯爽と帰っていった
「えっと、あの… カズくん、どうして…?」
「キャンセルになってるの知らなくて、出社して…
チーフに聞いて、それで…
何かあったのかな、って
いや、ホントはそれよりも…」
ちゃんと、伝えなきゃ。
「どうしても今日まーくんに会いたくて
やっちゃいけない事だってわかってるのに
顧客管理からまーくんの情報、拝借して…
…会いに、来たんだ」