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デリバリー【気象系BL】

第8章 死神


「今日は仕事じゃないよ…」

「うん、」

「時間の制限も無いし、料金もかかんない…」

「うん、」

「仕事外で自分から会いに行くなんて
こんな事初めてなんだ…」

「カズくん、」


腕を解いてまーくんが振り返る


「俺っ…、」



心臓が、口から飛び出そうだ






「まーくんの事が、好き……」






想いの丈を吐き出してしまえば
張り詰めていた緊張の糸がプツリと切れて


「泣かないで」


あぁ、俺…泣いてんだ
泣けるんだ

頬を伝う温かい涙を拭ってくれて

そして


「俺も好きだよ」


まーくんが優しいキスをくれた












「はい、アイスコーヒー」

「ありがとう」


二人で並んでソファーに座って
触れそうで触れない距離がもどかしい


「熱は下がったの?」

「元々たいして出てないけどね。ほら、」


おでことおでこをコツン、とぶつける


「ホントだ」


オママゴトみたいだけど、触れられた事が嬉しくて
もっと触れたくて
まーくんの首に腕を回してギュッと抱きしめた


「カズくんのこと、これから色々教えてくれる?
俺の事も沢山知ってほしい」

「うん…、」

「相葉雅紀、24歳、AB型。
仕事はホテルのレストランでシェフしてる。
千葉の幕張出身で、実家は中華料理屋。
4つ下の弟が居て…」

「弟さんが居るんだ。
お兄さんは居ない?」

「居ないよ?」

「じゃあ…やっぱりアレはまーくんだったんだ」

「アレ?」


「うん。
10年前にね、俺、まーくんの実家のお店に行った事があるんだ
その時、まーくんに会ってるんだよ」
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